コラム
製造・仕組み解説

堅牢度とは?|染色の耐久性について徹底解説

2025/03/05
堅牢度とは?|染色の耐久性について徹底解説

堅牢度(けんろうど)とは、生地などの色落ちや色移りに対する強さを表す数値です。

主にテキスタイルの業界で品質保証の指標になる要素ですが、皮革業界などでも用いられます。

堅牢度はJIS規格やその他の規格(ISO、AATCC、GB等)で変色に対する強度などを測るための試験方法が規定されています。

本記事ではそんな堅牢度について徹底解説。

服飾資材メーカーである我々フジリュウにどう影響するかなど、様々な面でお伝えできればと思います!

堅牢度とは?

前述のとおり堅牢度とは、印刷物や生地などの色落ちや色移りに対する強さを表す数値です。

堅牢度には「変退色」「汚色」、2つの概念があり、それぞれ「変」と「汚」と表記されます。

Tシャツを使った変退色の例

変退色とは、繊維の染料や顔料が劣化や変質などで変色する現象を指します。日焼けや汗染み、漂白剤の使用などが原因として挙げられます。

Tシャツを使った汚色の例

汚色とは、その名の通り汚れやすさ、色移りのしやすさを指します。2つの衣服を洗濯したときに濃い色の衣服の色が薄い色の衣服に移る現象です。

変退色の等級

また、堅牢度は1級から5級まで半段階ごとに評価され、等級が高いほど堅牢度が高くなります。つまり、1級が最も色落ちしやすく、5級が最も色落ちしにくくなります。

これらの数値は、日本の工業製品の規格を定めるJIS規格によってさまざまな検査項目が設けられています。

また、堅牢度にも種類があり、洗濯、摩擦、光、汗など、様々なシチュエーションを想定した評価方法があります。

堅牢度の検査項目

堅牢度は様々な検査項目があり、様々なシチュエーションを想定しています。
検査の内容や方法についてカンタンにご説明します。

 

水堅牢度

水堅牢度とは生地や繊維が水に濡れた際に発生する変退色や汚色を評価する試験方法です。
布を水に濡らし、どれだけ変退色が発生したかを試験します。

 

洗濯堅牢度

洗濯堅牢度とは、家庭用洗濯機などで洗濯した際に発生する変退色や汚色を評価する試験方法です。
特定の洗濯液、洗濯温度、洗濯時間など、洗濯試験機を用いて検証します。

 

ドライクリーニング堅牢度

ドライクリーニング堅牢度とは、ドライクリーニングによる変退色と汚色を評価する試験方法です。

 

汗堅牢度

汗堅牢度とは、人の汗による変退色や汚色を評価する試験方法です。
人の汗を再現した液剤を使用して検査します。酸性とアルカリ性、それぞれの溶液を布に浸して検査します。
主にスポーツウェアなどの生地において重要な検査項目です。

 

摩擦堅牢度

摩擦堅牢度とは、生地同士が擦れた際に発生する変退色や汚色を評価する試験方法です。
乾燥した布で試験片を摩擦する「乾燥試験」と水で湿潤させた布で試験片を摩擦する「湿潤試験」の2種類があります。

 

耐光堅牢度

耐光堅牢度とは、光による変退色を評価するための試験方法です。試験方法によって使用される光源は異なり、太陽光を再現した光を照射するキセノンアーク灯光と、紫外線を照射する紫外線カーボンアークが使用されます。

 

昇華堅牢度

昇華現象(高温による染料の蒸発で生地が色移りする現象)によって変退色や汚色を評価する試験方法。
長期保管される衣類などで、重要視される試験項目です。

服飾資材における堅牢度

衣類はもちろんですが、服飾資材メーカーであるフジリュウが作っている小さく、隠れる事もある服飾資材にもその要求はあります。

帝人コードレ(リサイクルポリエステル繊維ECOPET🄬使用)人工皮革を使用したコードレパッキン等は4~5級を持っているので、もちろんクリアしています。

他にはドライクリーニングの堅牢度もあります。ドライクリーニング堅牢度は、油を原料にした特殊な溶剤を使って衣類へのダメージを抑えた洗浄方法です。こちらも4~5級でクリアしてます。

これらの試験はコードレなど人工皮革やポリウレタン原反ならクリア出来ますが、本革や塩ビ、合成皮革、では合格しない項目がありますのでなかなか服に採用されることが少ないです。

まとめ

いかがでしょうか?ここまで書きましたがこれらは本当に基本的な前提条件で他にもお客様別の物性要求があったり、海外に向けた規制等、原反メーカーに調査依頼をしていただく事があったりと、小さな服飾資材にも様々な要件があります。

これらをクリアし、お客様によりよい製品をお届けできるよう日々努めています。