人工皮革とは?|素材の特徴や用途について徹底解説
本革を模した素材には、合成皮革の他に人工皮革というものがあります。
本革との違いはなんとなく分かりそうですが、合成皮革との違いは中々分かりづらいですよね。
本記事では人工皮革の特徴や合成皮革との違い、用途などについて徹底解説いたします。革のプロが製品ごとの使いわけ方などを伝授。
製品選びや素材の理解を深めるための情報が満載です。
人工皮革とは?
人工皮革とは本革の見た目や手触りを模した素材の一種で、不織布の表面にポリウレタンをコーティングしたものや、不織布の表面に特殊加工を施したものなどを指します。
裏面は不織布特有の毛羽っぽいテクスチャになっています。
本革を模した素材として合成皮革(PU)とよく混合されますが、構造が少し違います。
コチラの記事で合皮(合成皮革)について解説しています!
人工皮革の特徴
コスト:合皮<人工皮革≦(≧)本革
人工皮革は合成皮革に比べ製造が複雑なため高価になってきます。さらには人工皮革の中には本革と同等、あるいは安価な本革よりも高い素材すらあります。
メンテナンスが簡単:合皮=人工皮革>本革
天然皮革は定期的なケアが必要ですが、人工皮革は合成皮革同様、水拭きや乾拭きで簡単に手入れができます。また、耐水性や防汚性が高いため、使用し続けていても見た目に変化が出にくいのも特徴的です。
耐久性:合皮<人工皮革<本革
基布に不織布を使用しているため、合成皮革に比べると引っ張りや引き裂けに強いです。
人工皮革と合成皮革の違いは?
構造の違い
人工皮革と合成皮革、表面を見ただけではほとんど見分けがつきません。それもそのはず、人工皮革と合成皮革の表面は同じ合成樹脂(ポリウレタン)を使用しているからです。
人工皮革と合成皮革の構造の違いはズバリ、基布の違いです。
合成皮革の基布には織物や編物が使われているのに対して、人工皮革の基布は不織布が使用されています。
生地の断面や裏面を見てみるとわかりやすいです。
その他にも人工皮革は合成皮革と比べて硬く厚みもあります。実際に手に取ってみるとよくわかります。
この不織布は特殊不織布と呼ばれ、本革の繊維構造に似せて作られており、各社によって独自に開発されています。固さ、しなやかさ、コシなど本革により近い構造、質感を目指し作られています。
用途の違い
人工皮革は合成皮革と比べて厚みや硬さがあるため、製造段階において比較的少ない加工で耐久性を持たせることができます。
生地を基盤とした合成皮革では芯材を入れて、厚みや強度、固さを出すのに対して人工皮革はそのまま使用し、逆に厚みや硬さのいらない部分だけ薄く漉き加工をすることで製品を作り上げます。これは本革の製品加工の工程と全く同じです。
そのほか、熱に強く厚みのある人工皮革は型押し、焼き印に適していて、ジーンズのラベルなどブランドタグやワッペン、キーホルダーに革の代用として多く流通しています。
また、人工皮革といえば「ランドセル」です。「クラリーノ®」や「コードレ®」といった一度は耳にしたことがある人も多いこの素材も人工皮革。はつらつな小学生が6年間も使用し続けることができるほどの耐久性を持ち、高価な本革製に比べ安価で軽い人工皮革のランドセルは今では一般的な存在となっています。
これらは合成皮革では生み出せない人工皮革の大きな特徴です。
人工皮革はどういうものに使われている?
人工皮革は主にファッションアイテムや家具、車のシートなどに使用されています。
服飾資材、革製品のOEMメーカーのフジリュウではファスナーの引手やダッフルコートのタブ、ジーンズラベルなど多岐にわたって使用しています。一例をちょこっとご紹介。
ファスナー引手
ファスナーの引手を装飾する資材にも人工皮革を使用します。カシメを使用したものや縫製したもの、様々なタイプのものがあります。
付属ベルト
学生服のスカートに使用される飾りベルトやダッフルコートの留め具にも使用されています。
ジーンズラベル
人工皮革を使用したラベルは型押しや焼き印を施せるうえ、洗濯も可能。
最近では人工皮革を使用したものが一般的です。
まとめ
人工皮革は本革を模した素材で、取り扱いがしやすく比較的安価、様々な製品に使用されていることもあり皆さんにとってもなじみ深い生地です。
「クラレ」、「東レ」、「帝人」、日本の人工皮革は世界的にも一流の有名ブランドです。肉食文化により本革の歴史がヨーロッパであるように人工皮革は限りある資源の中から生み出された日本のお家芸といえるでしょう。
是非とも、服やバッグ選びの時に、少し素材に注目してみてください。